「バーチャルオフィスって最近聞いたことがあるけど、違法じゃないの?」
「バーチャルオフィスを利用している業者は怪しい。信用してもいいのかな」
このような意見を聞かれたことはありませんか。
本記事はバーチャルオフィスが適法にどのように運用されているのか、また違法になり得るケースは何なのかについて詳しく解説します。
また安心してバーチャルオフィスを利用するための方法も合わせて解説いたしました。
バーチャルオフィスの利用に際して、不安を払拭できる手助けになれば幸いです。
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、実住所を構えず、オフィスの住所だけを利用出来るサービスです。
その歴史は比較的新しく、1980年代後半のアメリカで提唱されたと言われています。
1980年代後半、アメリカのビジネスマンたちは、物理的なオフィススペースのコストと管理の負担を軽減し、企業の運営効率を高める新しい方法を模索していました。
そこで登場したのが、バーチャルオフィスのコンセプトです。
この新しい形態のオフィスは、低コストでビジネスを開始し、運営することができ、特に小規模企業やスタートアップにとって理想的な解決策でした。
さらに、デジタル化とインターネットの普及が進むにつれ、バーチャルオフィスは世界中の企業に利用されるようになりました。
バーチャルオフィスの利用は違法ではないの?
結論からお伝えしますと、バーチャルオフィスの利用自体は違法ではありません。
バーチャルオフィスの利用は、日本の法律で禁止されていないからです。
法律では、事業所や本店として使用できる住所について、具体的な形態や実態を定めていないため、バーチャルオフィスを利用すること自体は問題ないとされています。
具体的には、日本の商法では、「商号及び本店の所在地を記載しなければならない」と規定していますが(商法第33条)、これにはバーチャルオフィスが該当します。
ただし、あくまで「バーチャルオフィスが該当する」とは、法律上「本店の所在地」の定義にバーチャルオフィスの住所が適合する、という意味であり、絶対的な合法性を保証するものではありません。
あくまで具体的な合法性は各企業の事業内容や業種、その他の法律や規定によるところが大きいです。
また、会社法では、会社設立の際に本店の所在地を定めることを要求しています(会社法第26条)が、これには具体的な形態や実態の要件が設けられていないため、バーチャルオフィスでも問題ありません。
さらに、一部のバーチャルオフィスでは、法務局による本店移転届出の際の書類作成支援サービスを提供しており、この事実もバーチャルオフィスの合法性を示しています。
バーチャルオフィスの利用による法人登記の成功例は数多くあります。
例えば、IT企業やコンサルタント業、マーケティング業など、オフィスの物理的な存在がビジネスに直接影響しない業種の多くが、初期費用の節約や柔軟な業務展開を目指しバーチャルオフィスを利用しています。
バーチャルオフィスを利用した法人登記も違法には当たらない
バーチャルオフィスを利用した法人登記もまた、違法にはなりません。
商法上、会社の設立には商号と本店の所在地が必要とされています(商法第33条)。
ここでいう「本店の所在地」とは、会社の主たる業務を行う場所を指しますが、これにはバーチャルオフィスの住所も含まれます。
したがって、法的にはバーチャルオフィスを利用した法人登記は違法ではないのです。
実際にバーチャルオフィスを利用して法人登記を行っている企業は多数存在します。
例えば、リモートワーク推進企業、スタートアップ企業、国際的にビジネスを展開する企業など様々な企業がバーチャルオフィスを活用しています。
しかし、そのバーチャルオフィスが信頼性のある運営者から提供されているか、自社の業種や業態に合っているかなど、各企業が慎重に選択する必要はあるでしょう。
特定商取引法に基づく表記にもバーチャルオフィスの住所を利用可能
更にいうとバーチャルオフィスの利用は、特定商取引法にも合致しています。
特定商取引法において、販売者は消費者の利益を守るために、一定の情報を開示する義務を設けています。
その中に「事業者の名称及び住所」を明記することが求められるのです。
そして、この「住所」とは、事業所が存在する場所を指し、バーチャルオフィスの住所も利用可能です。
実際に、ECサイトやリモートワークを展開する企業は、特定商取引法に基づく表記にバーチャルオフィスの住所を用いています。
これにより、事業者の所在地が確認でき、消費者の信頼を得られるとともに、法令遵守も実現しているのです。
バーチャルオフィスはなぜ違法というイメージがあるのか?その背景とは
法律的に合法なバーチャルオフィスですが、なぜ違法だというイメージがあるのでしょうか。
このイメージの背景には、過去の悪質な利用例や誤解から来ている可能性が高いです。
過去には悪質な事業者がバーチャルオフィスを利用して不適切な行為(詐欺行為など)を行った事例が存在し、それが一部で違法性のイメージを形成してしまったと考えられます。
かつては住所貸しなどのビジネス業態が存在していました。
現在よりも法整備が進んでおらず、安易に住所を隠してトラブルを避けたりする事例があったようです。
また、バーチャルオフィスという概念が新しく、理解しきれていない人が多いことも、誤解を生む原因ではないでしょうか。
安易なトラブルを招いた住所貸しと、バーチャルオフィスが同じものだと思われている方も多いかもしれません。
しかし、バーチャルオフィスそのものは合法であり、適切な利用者のほうが多いのです。
バーチャルオフィスの違法利用を防ぐ取り組みが行われている
バーチャルオフィスを提供する企業側は違法利用を防ぐ努力や取り組みを行っています。
具体的な取り組みとしては、バーチャルオフィスの運営者が初めての契約時に、顧客の身分証明書を提示させるなどの本人確認を徹底している点です。
また、業界団体が中心となって不適切な利用事例を共有し、迅速な対応を図るための情報ネットワークを構築しています。
さらに、行政もバーチャルオフィス利用に関する法的な枠組みを見直し、適切な利用を促すとともに、悪質な利用を防ぐための取り組みを行っています。
バーチャルオフィスの違法利用を防ぐための取り組みは、サービス提供者から行政まで幅広い関係者の間で進められているのです。
これにより、バーチャルオフィスはより安全に利用できる環境が整備されつつあります。
バーチャルオフィスのトラブルに巻き込まれないためにやるべきこと
バーチャルオフィスのトラブルに巻き込まれないためには、利用するオフィスの信頼性を確認することが大事です。
バーチャルオフィスは、場所に縛られずにビジネスを展開する手段として大変便利ですが、提供元の信頼性や利用者の行動によっては、法的トラブルに巻き込まれる可能性もあります。
そのため、バーチャルオフィスの運営者が信頼性のある企業であることを確認することが非常に大事なのです。
バーチャルオフィスの運営者が信頼できるようであれば、そのバーチャルオフィスを利用している企業も信頼できるでしょう。
バーチャルオフィスを利用しているからといって、その企業が信頼できないことには繋がらないのです。
信頼性のあるバーチャルオフィスの提供者を選ぶ際には、企業の実績や評価、業界内での評判をチェックすることが有効です。
当サイトでは様々な観点から、信頼できるバーチャルオフィスを厳選してご紹介しています。
気になる方はぜひ下記をチェックしてみてください。
バーチャルオフィスの利用が向いていない業種とは?
バーチャルオフィスは大変便利ですが、すべての業種が利用できるわけでは有りません。
具体的にどのような企業が利用に向いていないか、確認していきましょう。
士業(弁護士、税理士、行政書士など)
士業の中にもバーチャルオフィスの利用ができる、士業と出来ない士業があります。
弁護士、税理士、行政書士などは実際の事務所の設置が必要です。
例えば行政書士などは事務所の届け出の際、実際のオフィスの写真を添付する必要があるのです。
オフィス費用を節約するために自宅を事務所とすることも出来ますが、トラブルに巻き込まれかねません。
自宅の住所を公開したくない場合は、シェアオフィスなどの利用を考慮する必要があります。
人材派遣業
人材派遣業は、バーチャルオフィスを利用できません。
人材派遣業を行う際、行政に届け出る必要がありますが、事務所の設置が必須です。
さらに事務所の面積が「20平米以上」という条件がついているため、物理的な場所がないバーチャルオフィスは利用できないのです。
行政に届け出を行う際、賃貸借契約書が必要なのでバーチャルオフィスを使っていてはそもそも認可されないでしょう。
人材派遣業を営んでいる業者が、バーチャルオフィスの住所を利用している場合違法な可能性がありますので注意しましょう。
参考…派遣新規許可事務説明会
有料職業紹介事業(職業紹介業・人材紹介業)
有料職業紹介事業は厚生労働省が許認可します。
許認可するためには物理的な事務所の設置が必須なので、バーチャルオフィスを利用して登録することは出来ません。
建設業(解体工事業、電気工事業、土木工事業など)
建築業を行うには、都道府県の認可が必要です。
また複数の都道府県にわたって建築業をおこなう際は、国土交通省に許可を得る必要があります。
許可を得るには、物理的な事務所の設置が必須です。
また請負工事を行う際も、契約をするための物理的なスペースが必要なので、バーチャルオフィスの利用は出来ないのです。
産業廃棄物処理業
産業廃棄物処理業を行うには、実際に産業廃棄物を処理するスペースが必要です。
そのため、バーチャルオフィスを利用することは出来ません。
参考…産業廃棄物処理業
不動産業
不動産業を営むには、実態のある事務所を設置する必要があります。
出入り口の設置など事務所にも細かく条件があるため、バーチャルオフィスを利用しての開業は難しいでしょう。
参照…不動産業開業までの流れ
金融商品取引業者
金融商品取引業者も、物理的なオフィスの設置が必須です。
金融商品取引業者とは、投資の運用助言などを行う業者を指します。
このような業務を行う際、バーチャルオフィスの住所を利用することはできません。
もし金融商品取引業者のサービスを利用したい場合は、必ず住所を確認しましょう。
その業者が財務省に許認可されているか、されていないかの区別が付きます。
もしバーチャルオフィスの住所を利用しているようならば、その企業との取引自体を中止したほうが良いでしょう。
金融商品取引業者は、金融庁に公開されています。
取引する企業が気になる場合は調べてみましょう。
探偵業
探偵業を営む際も、バーチャルオフィスを利用することはできません。
実際の営業所に「探偵業届出証明書」を掲示する必要があるためです。
物理的なスペースが必要な業種は、開業自体が難しいですね。
参考…探偵業の届出要領
飲食業
飲食業は、そもそも物理的なスペースがないと開業できません。
保健所から店舗の検査を受ける必要があるためです。
配達専門の業者であっても、物理的なスペースの設置が求められます。
風俗業
風俗業とはいわゆる性風俗業のことだけでなく、幅広い業種が当てはまります。
麻雀店やゲームセンターなども含まれるのです。
またアダルトサイトの営業なども風俗業に含まれます。
これらの業種を営もうとする場合、実際の事務所の設置が義務付けられています。
実際の事務所がないと、公安委員会が監視できないからです。
したがって、風俗業を営もうとする場合は、バーチャルオフィスの利用はできません。
古物商
古物商もバーチャルオフィスの利用はできません。
最近はオークションなど、顧客とネットだけでのつながりしかないという場合もあります。
しかしその場合でも実際の事務所の設置が必要なのです。
バーチャルオフィスの利用が向いている業種
バーチャルオフィスの利用が特に向いている業種としては、IT業界、コンサルティング業、ECショップ運営者などが挙げられます。
バーチャルオフィスの特性上、物理的な事務所の必要性が低い業種や、リモートワークなどの働き方を推進している業種が特に向いているのです。
こうした業種では、専門的な知識やスキルを活用してサービスを提供するため、特定の場所に拘束される必要があまりありません。
また、スタートアップやフリーランスのような小規模事業者も、バーチャルオフィスを利用しています。
例えばIT業界では、ソフトウェア開発やウェブデザイン等の仕事をリモートで行うケースが多いです。
従業員が一箇所に集まることが少ないため、バーチャルオフィスの利用が理にかなっていると言えるでしょう。
ご自身のビジネスが、物理的なオフィスを必要としない場合、積極的にバーチャルオフィスを利用したほうがメリットを享受しやすいと言えるでしょう。
バーチャルオフィスのメリットをもっと知りたいという方は以下のサイトを参考にしてください。
バーチャルオフィスのメリットとは?使わないとむしろ損って本当?
信頼性が高いバーチャルオフィスとは?
では信頼性が高いバーチャルオフィスとはどのような運営者なのでしょうか。
重要な点は2点挙げられます。
住所で検索しておかしな会社・怪しい情報が出てこない
バーチャルオフィスの中には、利用できる住所を公開している運営会社もあります。
そのような場合は、実際に住所と会社名で検索してみましょう。
バーチャルオフィスは、多数の企業が同じ住所を共有します。
そのため、その住所を使用している他の企業の評判が悪い場合、バーチャルオフィスの運営者自身の評判も下げてしまうことになるのです。
悪質な行動を利用者が取っている場合は、運営者から退去を求められる可能性があるのでそもそも、バーチャルオフィスを利用できないケースが多いです。
ですので、会社名と住所で検索し怪しい情報が出てこなければ、そのバーチャルオフィスは健全な運営を行っていると言えるでしょう。
入会審査を行っている
バーチャルオフィスの中には、あまり審査を行わず、すぐに利用できる場合もあります。
あまりにも審査が早すぎる運営会社を利用するのは、控えたほうが良いでしょう。
バーチャルオフィス選びの中には様々なポイントがありますが、入会審査は厳格な方がご自身の信頼を得るためには良いと言えます。
バーチャルオフィスで法人登記をする際の悩み・注意点
バーチャルオフィスで法人登記をする際には、サービス内容、登記可能な住所の確認、及び提供企業の信頼性を慎重に検討する必要があります。
バーチャルオフィスの提供企業によっては、法人登記に使用できる住所が限定されている場合があります。
またバーチャルオフィスで法人登記をする際は、ただ住所を利用するよりもコストがかかってしまう場合もあるのです。
また、サービス提供側が長期的に安定した運営が続けられるかも重要なポイントでしょう。
運営会社が倒産したり、サービスを停止したりすると、自社の登記住所に影響が出る可能性があるからです。
例えば、バーチャルオフィスの提供会社が突然営業を停止した事例が過去に存在します。
その結果、同じ住所を使用して法人登記を行っていた企業は急遽新しい登記住所を見つける必要に迫られるのです。
これは法人としての活動に支障を来たす可能性があるため、バーチャルオフィスを選ぶ際には提供企業の信頼性や安定性を確認することが重要です。
バーチャルオフィス選びのコツ
バーチャルオフィス選びのコツは主に3点挙げられます。
- サービス内容がご自身のビジネスにマッチしているか
- 料金プランが明確か
- 運営会社の信頼性はどうか
バーチャルオフィスは様々な業種の企業にとって有効な手段ですが、自社のビジネスニーズによって必要なサービスは異なります。
また、費用対効果を考慮するためにも料金プランが明確であること、そして何よりも提供企業が信頼性があることは絶対条件です。
バーチャルオフィスは費用の安さに注目が行きがちですが、様々な観点からご自身に合ったプランを選ぶのは重要ではないでしょうか。
バーチャルオフィス選びに悩まれている方は、ぜひ当サイトのおすすめするバーチャルオフィスを参考にしてください。
まとめ
バーチャルオフィスの違法性について解説いたしました。
バーチャルオフィス自体は、法律上認められているビジネスモデルであり、一般的には違法ではありません。
しかしながら、まだ新しいビジネスモデルなので古くからあるイメージを脱却出来ていないのかもしれません。
正しく使えば、安全でビジネスをスムーズに進めることが出来るサービスなので、是非利用を検討してください。
Q&A:よくある質問とその回答
Q1: 「バーチャルオフィスは違法ではないのですか?」
A1: バーチャルオフィス自体は違法ではありません。しかし、法人登記のための住所として利用する際には、その業種や地域の法律によって制限がある場合もあります。
Q2: 「バーチャルオフィスに登録した場合、それが違法な行為に利用される可能性はありますか?」
A2: バーチャルオフィス自体は法的に問題のないビジネスモデルですが、それを違法な行為に利用される可能性はゼロではありません。そのため、信頼できる業者からサービスを受けることが大切です。また、定期的にそのバーチャルオフィスの評判をチェックし、契約内容を理解しておくことが重要です。
Q3: 「バーチャルオフィスの業者が違法な行為をしている場合、どうしたらいいですか?」
A3: もしバーチャルオフィスの業者が違法な行為をしていると思われる場合は、まずは直接業者に問い合わせてみましょう。それでも解決しない場合、または業者が適切な対応をしてくれない場合は、弁護士や行政書士などの専門家に相談したり、警察や消費者センターなどに報告することをおすすめします。また、契約を解除することも検討してみてください。
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